カフェの集客施策として、店内にセルフ写真ブースを置くという選択肢があります。撮影に来た人がそのまま席を使い、席を使うつもりで来た人が撮影する、という流れが生まれるためです。
ただし、どのカフェにも向いているわけではありません。約2.5坪のスペースを使うということは、席をいくつか減らす判断でもあります。
この記事では、カフェとの相性がよい理由、席を減らしてでも成立するかの考え方、運用面の注意点を整理します。
カフェと相性がよい理由
1. 滞在することが前提の業態
撮影には順番待ちが発生します。物販店では待ち時間がそのまま離脱につながりますが、カフェには席があります。待っている間に注文してもらえるため、待ち時間が不利になりません。
2. 2人以上で来る客が多い
セルフ写真ブースは、友人同士や恋人と一緒に撮る利用が中心です。複数人での来店が多いカフェとは、客の構成が重なります。
3. 撮影の前後に注文が生まれる
撮影を目的に来た人が、プリントを待つ間や撮り終えたあとにドリンクを注文する流れが期待できます。逆に、席で過ごしていた人が「せっかくだから撮っていこう」となる動きもあります。
4. 写真に店の要素が写り込む
撮影した写真はSNSで共有されやすく、位置情報や店名とともに投稿されれば、店の認知につながります。
席を減らしてでも成立するか
導入の判断で最も重要なのがここです。設置に必要な幅3.0m × 奥行2.8m 程度のスペースは、通路を含めて考えると、2人掛けのテーブル2〜3卓分に相当します。
比べるべき数字
判断のために、自店の数字で次の2つを比べてください。
- 今、その席が生んでいる売上:客単価 × 1日の回転数 × 席数
- ブースが生むと見込まれる売上:撮影1回あたりの料金 × 1日の利用組数
加えて、ブースの利用者が注文する飲食の売上も、プラスの要素として見込めます。撮影を目的に来た人は、もともと店に来ていなかった客です。
減らす席をどう選ぶか
すべての席が同じように稼いでいるわけではありません。入口付近や通路際など、回転が悪く、客に選ばれにくい席から検討してください。ピーク時に満席になり、常に待ちが出ている店では、席を減らす判断は慎重になるべきです。
ピーク時間が重ならないか
カフェの混雑がランチ前後に集中し、撮影の利用が夕方以降に多いのであれば、席とブースは時間帯で棲み分けできます。自店の混雑する時間と、近隣を歩く若い層が多い時間を照らし合わせてみてください。
設置の条件
カフェに設置する場合、次の条件を満たす必要があります。
- スペース:幅3.0m × 奥行2.8m 程度
- 天井高:2,350mm以上(梁やダクト、照明のレールが下がっていないか要確認)
- 電源:20Aのコンセント。厨房機器と同じ回路を共用していないかを確認してください
- 通信:固定回線によるWi-Fi環境。店舗の来客用Wi-Fiをそのまま使えないことがあります
- 床:平らで、約350kgを設置できること
- 搬入経路:資材を運び込める通路。階段しかない2階の店舗では、搬入の可否を事前に確認する必要があります
給排水は不要で、電気工事も通常は必要ありません。内装を大きく変えずに設置できる点は、飲食店にとっては扱いやすい条件です。
運用面で考えておくこと
日常の管理
プリント用紙の補充と、ブース内の清掃が中心です。撮影のたびに人が出入りするため、床や鏡の汚れは通常の客席より早く目立ちます。清掃の頻度を営業のルーティンに組み込んでおいてください。
混雑時の動線
順番待ちの人が通路をふさぐと、配膳やレジの動線と干渉します。待つ人が立てる余地を、ブースの正面ではなく脇に確保できる配置が理想です。
音と光
撮影中はシャッター音やアナウンスが鳴り、照明も明るく光ります。静けさを売りにしている店や、読書・作業のための客が多い店では、既存客の居心地を損ねる可能性があります。ブースの位置を客席から離せるかどうかが、判断の分かれ目になります。
客層の変化
若い層の来店が増えることで、店の雰囲気は変わります。これを歓迎できるかどうかは、店の方針によります。既存客との関係をどう保つかは、あらかじめ考えておいてください。
営業時間との関係
ブースは閉店後は使えません。利用が見込める時間帯と、店の営業時間が合っているかを確認してください。
向いているカフェ、向いていないカフェ
向いているケース
- 10〜20代の来店が一定あり、2人以上での利用が多い
- 店の前や周辺に、若い層や観光客の通行がある
- 回転の悪い席があり、スペースに余裕がある
- 席の稼働に時間帯の偏りがあり、空いている時間がある
向いていないケース
- 常に満席で、席を減らす余裕がない
- 静けさや落ち着きを価値として提供している
- 客の中心がビジネス利用や1人での作業
- 天井が低い、または搬入経路を確保できない
判断のためのチェックリスト
- 幅3.0m × 奥行2.8m 程度のスペースを確保できるか
- その場所の天井の有効高さは2,350mm以上あるか
- 減らす席の売上を計算したか
- 店の前を通る人の層を確認したか
- 順番待ちの人が立てる場所を確保できるか
- 音と光が既存客に影響しないか
- 固定回線を用意できるか
まとめ
カフェとセルフ写真ブースの相性がよいのは、滞在が前提の業態であり、待ち時間が注文につながるからです。撮影に来た人が席を使い、席にいた人が撮影するという往復が生まれます。
一方で、約2.5坪を使う判断は、席を減らす判断でもあります。減らす席が今いくら生んでいるかを計算したうえで比較してください。静けさを売りにしている店では、音と光が既存客に影響する可能性もあります。
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