「韓国プリ」「セルプリ」と呼ばれるセルフ写真ブースが、日本の10〜20代に定着しつつあります。駅前や商業施設で見かける機会も増えました。
この記事では、この文化がどこから来たのか、なぜ支持されているのかを整理します。後半では、設置する事業者の視点から、ブームで終わるのか定着するのかという点にも触れます。
韓国の「セルフ写真館」から始まった
始まりは韓国の「セルフ写真館」です。カメラマンのいないスタジオで、利用者がリモコンでシャッターを押し、好きなだけポーズを試して、気に入った写真を選んでプリントする。そういう店が2017年頃から韓国で広がりました。
成長が加速したのは2020年代に入ってからです。韓国のKB国民カードの集計では、2022年のセルフ写真館の売上は前年の約3倍に伸びたと報じられています(マネー現代、2023年)。人と接触せずに撮影できることが、当時の状況とも合っていました。
この体験を機械に落とし込み、より手軽にしたものが、日本で「韓国プリ」と呼ばれているセルフ写真ブースです。スタジオを構えなくても、数坪のスペースがあれば同じ体験を提供できるようになりました。
なぜ支持されるのか
1. 「盛らない」
日本のプリントシール機は、目を大きくしたり肌を明るくしたりと、画像加工で理想の姿に近づける方向で発展してきました。韓国プリはその逆で、加工を抑え、そのままの姿をきれいに撮ることを重視します。
照明とカメラの質で見せるため、仕上がりは写真館で撮った一枚に近くなります。モノクロや落ち着いた色味が好まれるのも、この方向性の延長です。
2. 自分のタイミングで撮れる
カウントダウンに追われるのではなく、自分でシャッターを切れます。ポーズを決めてから撮る、何度も試す、といった撮り方ができるため、撮影そのものが遊びになります。
3. データを無料で持ち帰れる
プリントされた紙だけでなく、画像や動画をQRコードから取得できます。SNSに投稿するまでが一連の流れになっている世代にとって、データが手に入るかどうかは重要な条件です。
4. コラボフレームが入れ替わり続ける
アーティストやキャラクターとのコラボフレームが期間限定で配信されます。ファンにとっては、その期間に撮りに行く理由になります。同じ機械でも、撮れるものが変わり続けるという構造です。
企業の販促に使われることもあります。韓国では、高級ブランドやアウトドアブランドが期間限定でロゴ入りの写真を撮れるブースを売り場に設置した例が報じられています(マネー現代、2023年)。
5. 短時間で終わる
落書きや装飾の工程がないため、撮影から受け取りまでが短く済みます。出かけたついでに立ち寄れる手軽さがあります。
日本での広がり
日本では、韓国発の複数のブランドが展開しています。
- Photoism(フォトイズム):韓国のSeobuk社のブランド。2023年に渋谷へ直営店を出店しました。(ITmedia ビジネスオンライン、2023年)。
- 人生4カット(LIFE4CUTS):韓国発のセルフ写真館ブランド。2025年に横浜ワールドポーターズへ出店するなど、店舗を広げています。
- PHOTOGRAY:韓国のAPR社のブランド。2026年には、エクシングを通じて有明・蒲田・池袋・海浜幕張の4店舗でテスト導入が行われ、KCON JAPAN 2026との連動企画も実施されました。
- Photomatic:キタムラ・ホールディングスのグループ会社が法人向けレンタルとして展開しています。
複数のブランドが参入し、国内の大手企業が取り扱いを始めているという事実は、市場としての見方を示しています。
ブームで終わるのか、定着するのか
設置を検討する立場では、ここが最大の関心事です。判断の材料になる点を挙げます。
定着を支える要素
- 体験の中身が更新される:機械を入れ替えなくても、配信されるフレームが変わります。一度撮った人にも、次に撮る理由が生まれます。
- 写真を撮って残す行動そのものは消えない:媒体は変わっても、記録して共有する行動は続いています。プリクラが30年近く続いてきたのも、この行動に支えられてきたからです。
- 複数の企業が参入している:一社の仕掛けによる一過性の流行ではなく、事業として取り組む企業が増えています。
注意すべき要素
- 設置密度が上がる:同じエリアに何台も置かれれば、利用は分散します。近隣の設置状況は必ず確認してください。
- ブランド間の競争:複数のブランドが並ぶ状況では、どのコラボを持ってこられるかが差になります。集客力の源泉は機械の性能ではなく、フレームの調達力です。
- 立地への依存:どのブランドを選んでも、人通りの少ない場所では利用されません。
事業者から見たときの論点
導入を検討する際に、比較すべき点を挙げます。
- コラボの実績と頻度:どのアーティストやキャラクターと、どれくらいの間隔で企画が動いているか。ここが来店の理由を作り続けられるかを決めます。
- 導入の形態:機器を購入するのか、レンタルで導入するのか。初期投資と収益の考え方が変わります。
- ランニングコストの構造:消耗品、通信、保守、運営に関するフィーがどう発生するか。
- 保守体制:故障時にどれくらいで復旧できるか。無人で運営する以上、止まっている時間がそのまま損失になります。
- 必要な設置条件:スペース、天井高、電源、通信環境。ブランドによって機器の寸法は異なります。
まとめ
韓国プリが支持されているのは、「盛る」のではなく「きれいに残す」という方向性と、データを持ち帰れる手軽さ、そしてコラボフレームによる目新しさが重なっているからです。
日本では複数のブランドが展開し、国内企業も取り扱いを始めています。設置を検討する場合は、機械の性能よりも、どのようなコラボ企画を継続的に持ってこられるかを見てください。集客の源泉はそこにあります。
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